<在留特別許可の積極要素と消極要素>
在留特別許可を与えるか否かの判断においては、画一の基準はありません。以前は自由裁量という名のもとに内部基準を公にされなませんでしたが、2009年に「在留特別許可のガイドライン」が公開されています。
この基準によれば、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、日本における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合時に考勘案して行うとされています。
1. 特に考慮する積極的要素
(1) 当該外国人が、日本人の子または特別永住者の子であること
(2) 当該外国人が、日本人または特別永住者との間に出生した実子(嫡出子または認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって、次のいずれにも該当すること。
(ア) 当該実子が未成年かつ未婚であること
(イ) 当該外国人が、当該実子の親権を現に有していること
(ウ) 当該外国人が、当該実子を現に本邦において相当期間同居の上、監護および養育していること
(3) 当該外国人が、日本人または特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために、婚姻の偽装し、または形式的な婚姻届を提出した場合を除く)であって、次のいずれにも該当すること
(ア) 夫婦として、相当期間共同生活をし、相互に協力して扶助していること
(イ) 夫婦間に子供がいるなど、婚姻が安定かつ成熟していること
(4) 当該外国人が、本邦の初等・中等教育機関(母国語による教育を行っている教育機関を除く)に在学し相当期間本邦に在住している実子と同居し、当該実子を監護および養育していること
(5) 当該外国人が、難病等により本邦での治療を必要としていること、またはそのような治療を要する親族を看護することが必要と認められる者であること
その他の積極要素
(1) 当該外国人が、不法滞在者であることを申告するため、自ら地方入国管理官署に出頭したこと
(2) 当該外国人が、入管法別紙第二に掲げる在留資格で在留している者と婚姻が法的に成立している場合であって、前記1の(3)のアおよびイに該当すること
(3) 当該外国人が、入管法別紙第二に掲げる在留資格で在留している実子(嫡出子また父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって、前記1の(2)のアないしウのいずれにも該当していること
(4) 当該外国人が、入管法別紙第二に掲げる在留資格で在留している者の扶養を受けている未成年・未婚の実子であること
(5) 当該外国人が、本邦での滞在期間が長期間に及び、本邦への定着性が認められること
(6) その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること
2.特に考慮する消極要素
(1) 重大犯罪等により刑に処せられたことがある(凶悪犯罪、違法薬物・拳銃等)
(2) 出入国管理行政の根幹にかかわる違反または反社会性の高い違反をしていること
<例>
・不法就労助長罪、集団密航に係る犯罪、旅券等の不正受交付等の罪により刑に処せわれたことがあること
・不法・偽装滞在の助長に関する罪により刑に処せられたことがあること
・自ら売春を行い、あるいは他人に売春を行わせる等、本邦の社会秩序を著しく乱す行為を行ったことがあること
・人身取引等、人権を著しく侵害する行為を行ったことがあること
その他の消極要素
(1) 船舶による密航、もしくは偽造旅券または在留資格を偽造して不正に入国したこと
(2) 過去に退去強制手続を受けたことがあること
(3) その他刑罰法令違反またはこれに準ずる素行不良が認められること
(4) その他在留状況に問題のあること
<例>
○犯罪組織の構成員であること
上記の積極要素・消極要素の各事項をそれぞれ個別に評価して、積極要素として考慮する事情が明らかに消極要素として考慮する事情を上回る場合は、在留特別許可の方向で検討されることになります。したがって、積極要素が1つ存在するからといって、在留特別許可が与えられるものではなく、逆に消極要素が1つ存在するなからといって在留特別許可が与えられないというものではございません。
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